ミリタリー詐欺に騙されない最低限の知識(保険)

著者: エド先生
2019年12月12日12時00分

米兵本人や家族は必ず保険に入っている

米国国防総省: Soldiers have medical insurance for themselves and their immediate family members (spouse and/or children), which pays for their medical costs when treated at health care facilities worldwide - family and friends do not need to pay their medical expenses.

和訳: 米軍の医療保険は、兵士本人や配偶者・子供が対象です。この医療保険は、世界中で使えます。兵士の家族や友達は兵士の代わりに医療費を払う必要はあり得ません。

ご存知かもしれませんが、アメリカ国内の保険制度は、いろいろな問題を抱えています。アメリカは、日本みたいに「国民健康保険」のシステムがなく、いくつかの民間保険会社が保険を売り、お金を儲けることを目的にしながら保険のサービスを提供しています。

そのために、アメリカの医療費は日本の数十倍になることが少なくありません。アメリカの個人破産の3人に2人は、医療費が払えなかったことが原因です。学者の研究

「病気になり、保険には入っていたけれど、保険のきく金額が限られていて、生きていくために、車も家も売った。しかし、それでもなお、お金が足りず、破産してしまいます。」これが今のアメリカです。

普通の保険でも自己破産してしまうアメリカの状況下で、軍隊はいったいいくら保険をかけて、どのように守ってもらえるのか?

兵士たちも破産覚悟で保険をかけている?

違います!現役軍人の保険は、無料です。

また、米軍の保険制度は、一般的なアメリカ人の保険より、かなり良いものです。お金がかからないこと以外にも利点がたくさんあります。

たとえば、アメリカの一般的な保険は、アメリカ国内でしか使えません。(もっとひどいことに、州内の、保険会社指定の病院しか使えないものがほとんどです。)日本も、国保は日本でしか使えません。しかし、米軍の保険は、世界各国で使えます。

また、米軍の待遇の一つは、兵士の保険は家族も対象です。つまり、軍隊に入った以上、家族の医療費を心配する必要はありません。(アメリカの民間保険では家族が自動的に被保険対象者にはならないので、これも大きな利点。)

アメリカは国民健康保険がない国なので、持病の子供がいると、子供をパートナーや両親に任せて、医療費を賄うため軍隊に入り、軍隊の保険を使う人もいます。

つまり、軍隊の保険は一般アメリカ人の保険よりもかなり良いものなのです。

まとめ

兵士や兵士の家族の医療費は、国が背負っています。現役兵士が医療費で困ることはありません。

米兵の保険の種類

軍隊の保険は、種類がいくつかありますが、海外にいる米軍の多くは、この二つのどちらかに加入しています。

  • Tricare Prime Overseas」 (トライケアプライム海外)
  • Tricare Prime Remote Overseas」 (トライケアプライムリモート海外)

違いは、保険を病院で利用する際の、担当医です。前者は、ほとんどアメリカ人医師が担当医になりますが、後者は、派遣先の地元の医者が担当医になります。 Tricare Prime Overseasについて(英語)Tricare Prime Remote Overseasについて(英語)

どちらも、現役兵士である限り、入会費・自己負担額は0ドルです。アメリカの一般の公務員の保険は、有料ですが、現役兵士に限っては、無料です。

ある意味、軍隊の待遇の最大の利点は、健康保険かもしれません。

退役しても、軍隊の保険は使い続けることができます。その場合、有料にはなりますが、一般の保険よりはかなり安いです。 2019のTricare料金表

詐欺師の健康保険についての嘘

では、健康保険についての詐欺師の定番の嘘を確認しましょう。

詐欺師

〜詐欺師のセリフ〜 子供が持病で死にかけている。保険に入っていないから、どうか助けて!今すぐお金が必要!さもなければ、子供が死んでしまう!

軍隊の本当の事情 兵士の家族は必ず保険に入っているので、医療費を支払う必要はない。つまり、医療費を求めた時点で詐欺と断言できます。

詐欺師

〜詐欺師のセリフ〜 外国で怪我して、いますぐ医者に診てもらわないといけないが、海外にいるから保険が効かない。給料は、アメリカの銀行に預けているから、今は簡単に下ろせない。至急にお金を工面してくれないか?病院から出たら、すぐ返すから!

軍隊の本当の事情 米軍の保険は、世界各国で使用可能です。米基地の病院だけでなく、海外の一般病院も対象となるので、外国で何があっても、保険は心配無用です。

詐欺師

〜詐欺師のセリフ〜 任務中に2回撃たれた。今回、被害者があまりにも多かったから、米軍基地の病院は患者でいっぱいになってしまった。その関係で、軍隊と関係ない地元の一般病院に入ったが、ここではアメリカの保険が効かない。出血はギリギリのところで止まったが、すぐに手術しないと、感染する可能性が高く、命が危ない!しかし、保険対象外で、お金がないからどうしようもない。病院の医者は、国際振込でなんとかなると言っているが、頼むのは申し訳ないような気がする。

軍隊の本当の事情 今回の詐欺師は二つの大嘘をついています。まず、戦闘中の怪我は、軍隊が責任を持って治療を行なっています。そして、万が一、軍の病院ではなく海外の地元の病院でも、医療費は米軍の健康保険が支払ってくれるので、兵士の支出は0ドルになります。

この記事は、『米軍ミリタリー詐欺』の電子書籍から抜粋。

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