ミリタリー詐欺に騙されない最低限の知識その1

著者: エド先生
2019年11月21日13時00分

休暇を取るための「支払い」は詐欺

米国国防総省: Soldiers and their loved ones are not charged money so that the Soldier can go on leave.

和訳: 兵士が休暇を取るために、兵士本人やご家族・親友などは、お金を支払う必要はありません。

つまり、米兵の休暇を取るためのお金はまったく不要です。兵士たちは会社員のように自由に休暇を取ることはできません。よって、兵士たちが休暇を取る時に困るのは、「お金」ではなく「時間」です。兵士たちは、所属する「unit」(部隊)により、いつ休暇を取れるのかが決められています。

日本で働いている人にとっての「休暇」とはかなり違うので、米兵たちの休暇を取るシステムの詳細を確認してみましょう。

米軍の休暇を取る仕組み

米軍なら誰でも毎年、30日間の有給休暇があります。しかも基本的に全部使えるので、日本の一般的な会社員に比べたら、ラッキーですね。そして、年内に使い切れなかった休暇は、次の年に自動的に引き継ぐことができます。(60日間まで)

しかし、休暇は好きな時に取れません。上司の許可と手続きが必要です。「早い者勝ち」で、早く予定を決めて申請すれば、希望とおり休みがとれる可能性が高くなります。

逆に、予定がなかなか決まらないマイペースな人だと、希望どおりにとれないことも多いようです。

もちろん、早く申請しても、部隊の事情で却下されることもあります。繰り返しますが、許可が下りるかどうかは、あくまでもスケジュール(時間管理)によるもので、お金とは一切関係ありません。

詐欺の多い国の休みを取る仕組み

世界には「休むならお金を払って」という会社もあります。それらは明らかにブラック企業です。アメリカの国軍は、そんなインチキなことはしません。

しかし、詐欺の多い国(ナイジェリアやガーナなど)には、ブラック企業が多く、「休みたいならまず休む分の金を払え」と理不尽なことをいう会社もあります。最悪の経営者の理屈としては、「休む時は、代わりに仕事をする人を見つけなければいけないから、その手間代と、代わりの人の給料は、休む従業員が出すべきです。」本当にひどい!

しかし実は、労働組合がなかった時代、アメリカにもこのような最低の会社がいっぱいありました。

詐欺師たちは、米軍もこのような悪しき制度が残るブラック企業なのだと嘘をつくのです。

まとめ

米兵は休暇を取る際、お金はかかりません。「休むためにお金を払う必要がある」というのは、世界各国にあるブラック企業の決まり文句。

休暇を取るための「申請」も詐欺

米国国防総省: No one is required to request leave on behalf of a Soldier.

和訳: 兵士が休暇を取るために、本人以外の人が申し込む必要はありません。

前にも書きましたが、米兵は休暇を取るための手続きをしなければいけません。この手続きは、下記のとおりです。

  1. 本人がいつ休暇を取りたいか、上司に提出する。

それだけです。簡単でしょう! 他の人は何もする必要はありません。

ただ、上司に「希望した時期は隊が忙しいから、別の時に変えてください」と言われる可能性もあります。この判断は、部隊の任務を考慮した上で、兵士の上司が決めます。

しかし、休みが取れても取れなくても、どのみち、第三者からの申請を軍は求めていないし、仮に申請したとしても、それはなんの意味もなしません。

ところが詐欺師は、「休暇を取るために、あなたの助けが必要です。手続きに協力してくれないと、休めません」と言います。

なぜ詐欺師はあなたに協力させたいのか?

あなたに「申請」させて、途中で降りにくい「乗りかかった舟」状態の心理にさせたいからです。

あなたが、米兵彼氏に扮したミリタリー詐欺師のため、軍に彼の休みを申請した後、彼を巻き込む「事件」が発生します。もちろん、実際に事件が起きているわけではなく、詐欺師が「事件ですよ」と言っているだけです。

詐欺師は、自分のことを大好きなあなたがパニックに落ちることを期待しています。そして、彼が休暇を取るために協力したのだから、あなたにも「協力者として、一部の責任はあるのではないか?いや、あなたのせいでこうなってしまったのではないか?」とたたみかけます。

その言いがかりは、たとえば「あなたの申込書の入力ミスのせいで却下された」そして「今回の問題はもしかしたらお金で解決できるかもしれない」と言ってくるが、彼はお金がなく、また、「あなたのミスでこうなったのだから、あなたにはお金を払う義務があるのではないか?」こんな理不尽極まりないクレームを無理矢理おしつけようとします。

この例から分かるように、詐欺師は心優しい人の「助けたい」心理を悪用する天才です。

まとめ

米兵は、休暇を取りたい時、自身で申し込むだけ。第三者の申請などはまったく不要であり、関係ありません。

将校からの連絡は詐欺

米国国防総省: A general officer will not correspond with you on behalf of a Soldier planning to take leave.

和訳: 兵士が休暇を取るために、「officer」(将校)が兵士本人以外に連絡することはありません。

繰り返しになりますが、米軍は休むために上司の許可が必要です。許可が下りるかどうかは、隊の事情で決まります。だから、申請が他の兵士より遅れた場合は、みんなが同時に休むと隊が機能しなくなるため、許可が下りないことがあります。

たとえば、アメリカではクリスマスは家族と過ごしたい人が多いため、12月下旬は早い者勝ちです。

そこで、詐欺師は、次のような嘘のシナリオを考え出します。「将校(彼の上司)は俺の休みを却下した。でもその時、俺が彼女を家族に紹介したいからお願いします!と、ねばったら、あなたと話したいと言ってきた。将校から連絡が来るので、お願い、将校と話して!俺が休みを取れるように頼んで!」

その後「将校」と名乗る別の詐欺師から、電話かSNSのメッセージが入りますが、お分かりのとおり、この時点で間違いなく詐欺です。 米軍の将校は、兵士の彼女や奥さんの涙では動かされません。そもそも、将校は兵士の家族・恋人・友達に連絡はしないのです。

将校が兵士の恋人と電話を話した結果、「そうだな。われわれの部隊は特別な任務があるが、恋人がどうしても彼に休みを取らせてあげてほしいと頼むので、特別に休んでもいいよ。」と言うはずがありません。

軍隊は、なるべく武力行使を避けようとはしていますが、万一戦いになったら、人を殺す覚悟ができています。だから、そんな組織をリードする将校が優柔不断になることは、まず、ありません。将校が部下の兵士の休みを許すかどうかで悩んで、兵士の彼女の話を聞くなんてことはあり得ません。なので、「将校」と名乗る人から連絡があった場合、あなたが詐欺に遭っていると考えて間違いありません。

何回も言いますが、将校は兵士のプライベートに一切関与しません。

さらにいうと、「将校」だけではなく、「入隊局」「脱退局」「人事部」なども全部詐欺。軍隊は、組織として、兵士の家族や恋人に私的なことで連絡することはありません。

アメリカ政府が、兵士の事情を知るために、日本にいる恋人に連絡することは万に一度もないのです。

まとめ

「将校」と名乗る人から連絡がある時点で、詐欺です。

高い地位の米兵はネットに存在しない

米国国防総省: A general officer will not be a member of an Internet dating site.

和訳: 将校クラスの兵士は、インターネットのデーティングサイトやアプリには参加しません。

地位が高い米兵は、退役(軍隊から引退)するまで、一般人と接する手段が限られています。たとえば、インターネットでの出会いは禁止されています。

なぜ連絡制限があるのか、分かりますか?

アメリカは、常に世界のどこかで戦っている国で、戦地で負けることはあまりありませんが、負けた人達は当然、アメリカを恨みます。そのため、敵が多いのです。

敵が多いからこそ、「誰かに狙われている」という前提で行動しなければいけません。2001年9月11日のテロ事件のように、長年かけて復讐する人もいます。

米軍の予算は、中国、サウジアラビア、インド、フランス、ロシア、英国、ドイツを全部合わせてよりも大きいです。分かりやすい図

だから、敵は簡単に米軍を攻撃できません。そのため、攻撃する隙間を探さなければいけません。

そこで、狙われるのが「人」なのです。

とくに、将校は、会社でたとえると、「部長」にあたります。当然、部長は部下より会社の秘密を知っているはずです。

会社の秘密を盗むことが目的だったら上司を狙いますか?部下を狙いますか?

当然、上司、つまり将校の方ですよね。

実際、将校自体が、狙われることはよくあります。セクシーな女性に声をかけられ、肉体関係を持ち、ピロートーク(エッチなことをした後に二人が会話すること)で軍隊の秘密が口から滑ってしまう…まるでスパイ映画のような話ですが、実際に何回も起きている事件です。

このようなことは米軍にとっても、ものすごい恥です。だから、ターゲットである将校以上の人が騙される可能性を少なくするため、オンラインデーティングの利用を禁止しています。

まとめ

将校やその他のエリート米兵は絶対にデーティングサイトやアプリは使っていません。

この記事は、『米軍ミリタリー詐欺』の電子書籍から抜粋。

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